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zoom RSS 読書感想(これからスマートフォンが起こすこと。〜携帯電話がなくなる!パソコンは消える!〜)

<<   作成日時 : 2016/12/17 23:36   >>

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2011年に書かれた本であるので、今となっては内容の古さは否めないが、2011年と言えば、私から見てもスマートフォンが普及し始めた頃という印象がある。
よってこの本は2011年を起点としスマートフォンが更に普及することによって引き起こされる、ICTの変革を予測したものである。

2011年と言えば当時日本、特に、関東、東北に住んでいたものであれば当分印象に残り続けるであろう東日本大震災が起きた年であるが、著者いわく、この震災もまたその後のインターネットの利用形態やスマートフォンの普及に影響を与えるであろうと予測している。

この本に書かれていることは2011年時点での予測であるから、当たっているものもあれば、外れているものも多いが、少なくともそれまでの経緯や、2011年以後の1、2年間の変化については私が何となく感じていたものをうまく言葉にしてくれているという感じは有る。

例えば、この本の最大の主張であろう、スマートフォンが変えた最大のICT上の変化、クラウドコンピューティングの急激な普及は私自身の情報の扱い方の変化を表している。

私は1990年代後半頃からデジタルデータやコンピュータパワーを持ち歩くことを試行錯誤していた。
当時としてはなるべく小型のノートパソコンを持ち歩くというのが最も現実的な回答で、実際そうしていたこともある。
しかし、小型のノートパソコンとは言え、現在の厚さ1cm程度しか無いようなノートパソコンとは違い、重くかさばった。
そして、メールを受信するなど、ネットワークに繋ぐ必要が有る時にはISDN公衆電話を探すか、携帯電話を繋いでダイヤルアップでプロバイダに電話するという一手間が必要だった。

なので、情報は手元に持っておくというのが基本的な使い方だった。
ノートパソコンに入っているアプリケーションもウェブブラウザやメールソフトを除けば、手元のデータを参照し、更新するというものが当たり前。
地図のような膨大なデータを必要とするものでさえそうだ。
HDDの容量が数百MBの時代にである。

しかし、今はどうだろうか。
スマートフォンを使っていれば、24時間ネットワークに常時接続。
そうなるとアプリケーションの作り方も変わってくる。
すべてのデータを端末内に持っておく必要がない。
必要なデータを必要なときにネットワーク経由で持ってくればいいのだ。
前述の地図がいい例だろう。
スマートフォンの地図はほとんどの人が使ったことが有ると思うが、必要な範囲の地図データを随時ネットワーク越しにとってくるという作りになっている。

そうするとどうなるか、アプリケーションはほぼウェブブラウザ同然になるのだ。
これは私が常々スマートフォンのアプリを使っていて感じたことだ。

そうしてそういうネットワークの使い方が当たり前になってくると、個人個人のスケジュールやドキュメント類のデータの扱い方も変わってくる。

現在のスマートフォンは20年ほど前のノートパソコン並みの記憶容量を持つに至ったとは言え、それにつれて個人が扱うデータの量も増えてきて、決して潤沢とは言えないレベル。
更に、そうしたデータをスマートフォンで利用する、家や職場のPCで利用する。更にタブレットも使う。となれば、端末内にデータを持っておくことが得策ではなくなってきた。
そこでクラウドサービスである。

私もICTエンジニアの端くれであったから、ICTに殊更興味のない人たちよりも先にクラウドという言葉に触れていたが、正直、ここ1、2年でようやくそのポテンシャルに気づいた感がある。

古くからPCを使っていた人間は情報をネットワーク上に置くことに抵抗を感じる人も多いと思うが、私もそうで、それがクラウドコンピューティングの理解を遅らせていたのかもしれない。

スマートフォンで作成、更新した情報をPCで使いたいことがまま有る。
そういうときは古い人間はスマートフォンをPCに繋いで情報を転送するという発想になる。
そうすると、どうしてもUSBケーブルを引っ張り出して繋いで、エクスプローラーを2枚開いてコピーと二手間三手間必要になるが、データをクラウド上に置いておけば、家に帰ってウェブブラウザを立ち上げればスマートフォンで更新した情報をPCで見られる。

この利便性に負けて、私は情報をネットワーク上に置くことの忌避感を捨てた。
もちろん、万が一漏洩した場合に困るようなものは置かないようにはしているが。

実はこの文章も出先で Google ドライブ上に書いている。
家に帰ったらPCのブラウザ上でブログサイトにコピーして記事としてアップロードするのだ。

しかし、本書でいうスマートネイティブ(スマートデバイスとソーシャルメディアが当たり前に存在する環境で育った人)はクラウドサービスを使うことに抵抗はないのでしょうね。

そして利用者側はインフラ整備側の事情は知ったことではないので、バックボーンの帯域といったことはお構い無くネットワークを使用するし、スマートフォン自体が携帯電話の延長というよりもPCの延長であるから、好きなときに好きなようにネットワークを使用する。
やろうと思えば、PCのフリーソフトよろしく、個人でスマートフォンアプリの作成、配布、販売も可能であるから、携帯電話会社の管理外で、それこそ湯水のように帯域を使うアプリというのも存在しうる。

フィーチャーフォンでもネットワークを使うようなソフトウェアが走るが、本書によれば帯域に考慮した作りに電話会社がコントロールしていた。
そこへ上述のような振る舞いをするスマートフォンの登場である。
なので携帯電話会社としては、そんな無法に帯域を使う機器を自社の電話網に繋ぎたくないと考えていたようだ。

無理もない、この本が書かれた2011年時点ではまだLTEが始まって間もなくと言った時期だったのだから。

それゆえ著者もスマートフォンの普及に向けて、電話会社側の早急な対応が必要としきりに訴えている。
しかし、安心してください2011年の著者。
5年後にはLTEが普及し、スマートフォンはもちろん、フィーチャーフォンもVoLTE対応が当たり前になってきましたよ。

こうした、携帯電話会社の管理下におかれたネットワークから、インターネット同様自由なネットワークへの移行がスマートフォン普及の鍵で有るように本書では書かれているが、どうなのだろうか、それは、スマートフォンを使ったビジネスを考えている側の考えなのではないだろうか。
つまり、クラウドサービスやソーシャルメディアを整備し、使わせる。利用者側はそれが管理されたネットワークか自由なネットワークかというよりも、その結果としての利便性に惹かれ、そうしたサービスに寄っていく。
更にその結果として管理されたネットワークは淘汰され、スマートフォンが普及していく。
この5年ほどはそうした流れだったように感じる。

そして、2011年時点での近年の変化として、ソーシャルメディア、つまりSNSの普及をあげている。
特に著者はFacebookがお気に入りのようでしきりに誉めそやしているが、この5年で、若者はFacebookすら古くさいものと感じるようになってしまったようだ。
ただ、本書の中ではツイッターに比してオフラインでの交遊関係に近いネットワークを形成できるFacebookが若者に受け入れられていると有るが、現在若者に人気のLINEはよりその傾向をより推し進めたものなのかもしれない。


スマートフォンは単なる気軽に持ち歩けるネットワーク機能付きのPCではない。
GPS、加速度センサー、磁気センサー、傾きセンサーなどを備えており、通信機能も3GやLTEの他に、WiFiやBluetoothを備えているのが当たり前になっている。
つまり、そんじゃそこらの高性能PCやノートパソコンを遥かに凌駕する機能を持っているのだ。
そんなものが4、5万円で買えて気軽に持ち歩けるようになった。
かつてのPCオタクとしては、それだけで興奮ものである。

さて、たった5年で本書の予想の先を行ってしまったスマートデバイスとその利用環境。
これからどんな未来を見せてくれるのだろうか。
そんな期待感を持ちながら本を閉じた。


これからスマートフォンが起こすこと。
東洋経済新報社
2013-05-02
本田 雅一

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
シゲさんは、ITCエンジニアだったのですね!
(最近は、ITではなくITCと言うのですか?)
クラウドコンピューティングに関しては、その便利さに驚愕すると共に、やはりセキュリティが気になります。特にスマホの登場で、アップルやグーグルにありとあらゆる個人情報が把握されているのが恐ろしいです。iPhoneのデルタ航空アプリで予約した旅程が、パソコンのクロームで、「デルタ航空」と検索した時に表示されたのには、驚きました。
便利になればなるほどリスクも高くなるのは文明の常ですが、バランスをとるよう意識するしかないですね。
ゲンタロウ
2016/12/21 05:29
ゲンタロウさんこんにちは。
そうなのです、ICTエンジニアだったのです。
今は第一線を退いて事務職してますが。

ITはご存知の通りInformation Technologyの略ですが、最近はこれにCommunicationを加えた、Informmation and Communication Technologyと言うようになってきました。
この本のテーマはCommunicationも重要ですから、敢えてITでは無く、ICTと言う言葉を使わせていただきました。

利便性とリスクのバランス、本当に難しいですね。
特にgoogleさんはAndroidスマフォで写真を撮ると勝手にクラウドに上げられたり、cromeのお気に入りや検索ワードまで上げられていて、他の端末でも簡単にみられるようにしてくれちゃうので、便利で便利で怖くて、、、

最近は開き直っちゃって利便性の方に目が行ってますが、、、
人生開き直りが大事です。(笑)
t.shige
2016/12/21 06:53

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